国際連合憲章2条4項の「武力による威嚇または武力の行使」にあたる「自衛 」或いは国連憲章51条の正当防衛にあたらない「防衛行為」は国際連合憲章違反にあたる蓋然性があり日 本への連合国攻撃正当化要件だ。
国際連合憲章2条4項は「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」
とし憲法9条のみによらず「すべての加盟国は」「その国際関係において」「武力による威嚇又は武力の行使を「いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」とある。
この規定は国際連合の安全保障委員会の安全保障行動の発動根拠となる。
そこで、自衛権の行為が憲法に照らしてだけでなく、国際連合憲章に照らし2条4項違反しない範囲であるかが重要になる。
更に国際連合憲章51条は正当防衛の要件満たした場合にのみ2条4項の例外を規定する。この国際連合憲章51条は英語やフランス語で読むならば
Collective SelfDefence, Droit de Légitime Defence Collective とあり明らかに正当防衛要件を満たした場合のみに限られしかも安全保障理事会の決定による国連平和監視団や国連平和維持活動いわゆるPKOの活動が決定されている場合に国連平和活動が間に合わなかった場合の止むに止まれぬ緊急事態で平和への脅威と認定される場合にかつそれぞれの個別の警察行為が正当防衛要件急迫不正の侵害に対する止むに止まれぬ手段正当性相当性範囲内行為である場合にそのような正当防衛要件満たした行為が集団的集合的に行われても国連憲章違反にあたらないとする条文だ。
集団的個別的は多国間協力正当防衛のことではない:
日本語訳で集団的自衛権と間違って訳されている部分の誤解が多く発生しているがこの「個別集団的」は一国内における個別正当防衛行為および一国内の集団的集合的正当防衛行為も正当防衛の要件を満たしている場合には国際連合憲章2条4項にあたらないとするに過ぎない。つまり、一国の軍隊警察の個別の軍事行為が正当防衛要件を満たしている場合も一国の軍艦航空機戦闘機それぞれが個々に正当防衛の要件満たしていて意思の疎通を持って集団的に或いは主体的主観的な意思の疎通を持たずに実態事実として個々に正当防衛要件満たしている攻撃の集合的形式になった場合でも2条4項にあたらないとする。
この為51条は「加盟国がとった措置は」と述べるに過ぎずこの文言も51条は一国の軍事機関警察機関が個々に正当防衛行った場合でも意思の疎通を持って或いは持たずに個々に正当防衛を集団的にあるいは集合的に行った場合の除外規定であると解されるのが普通だ。もしも複数国家間共同正当防衛要件の話ならばかならず「加盟国各国は」「複数の加盟国が」となるのが法文の普通だ。
つまり、外国の警察軍事行為との共同正当防衛を直接認めた条項ではない。
地理的範囲:
51条文言が「加盟国がとった措置は」とあり、「加盟国が国外においてとった措置」でないことからもこの条文は自国領土領空領海内での正当防衛要件満たしている軍事警察行為に関する除外規定である。
この点この51条が「第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」の章にある為あたかも海外における国連平和維持活動の一環としての共同軍事行為に関する許容規定のようにみる者も多いのかもしれない。
が、国連安全保障理事会の決定による国連加盟国或いは非加盟国に対する国連平和活動における共同軍事行為については以下の通り49条が定めるところであり、51条とは無関係である。
寧ろ、51条がこの章の最後に置かれている通り、また51条が「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」における例外的な状態を想定した上、加盟国一国の各軍事行為個々の正当防衛も集団的或いは集合的正当防衛も正当防衛要件満たし、かつ直ちに安全保障理事会に報告された場合安全保障理事会が正当防衛要件満たしていると認めた場合においてのみ許容されるとするに過ぎない。「(51条)この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない」
国連憲章7章が定める平和維持活動における相互援助義務条項国連憲章第49条は以下の通り:
「第49条
国際連合加盟国は、安全保障理事会が決定した措置を履行するに当って、共同して相互援助を与えなければならない。」
最近の事例にはイスラエル領海内の船上検問におけるトルコ船籍のトルコ民間人への銃撃の正当防衛性が争われたものがある。イスラエル領海内船上検問ですら世界のイスラエル製品不買運動にまで発展した大変難しい事例であった。状況としては明らかに急迫不正の侵害に対する必要最小限の手段程度の相当性範囲内であったにもかかわらずガザパレスチナ紛争パレスチナ支援側民間船との間の正当防衛であった為、国連安全保障理事会の正当防衛要件判断は大きく揺れ時間をようしたが結果正当防衛要件満たしていると判断された。
ことほど左様に51条が定める正当防衛要件満たしている軍事防衛自衛行為は自衛行為と日本側が認識すれば良いというものでは全くない上更に絶対要件として当然に自国領土領空領海内を厳密に指すと国際法上常識として現在も理解され通用しているしそう解することは、国連憲章第2条4項や51条が「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」になされた武力行使の正当防衛要件についての条文つまり国連平和維持活動以外の状況を指す条文であるところ、国連憲章との整合性からも、当然である。
国連平和維持活動における正当防衛:
国連憲章7章51条以外の文言から、国連平和維持活動における通常の正当防衛要件満たしている軍事行為は広範囲に認められると解する。
国連憲章7章の国連平和維持活動における軍事多国間協力における相互援助の義務からも無限の相互協力形態における共同軍事行為がなされることを許容予定しているのが国連憲章だ。第49条
国際連合加盟国は、安全保障理事会が決定した措置を履行するに当って、共同して相互援助を与えなければならない。」
この点国連安全保障理事会の決定による措置行う場合にも日本国憲法と整合性持って行える「相互援助」を行うのみであるはずだ。
領海内領空領土内の軍事同盟外国軍や外国市民保護許容の根拠条文:
先も述べたとおり、この51条は当然に国内領海内領空領土内における自衛としての正当防衛要件満たしている場合の除外規定である。国連安全保障理事会の決定による措置行う場合以外の国内の同盟関係にある他国の警察や軍隊への攻撃への反撃はどうなるか?
まず、日本国内の外国軍外国市民が個々に一般刑法の正当防衛要件満たしている限りにおいて武力行使が違法性要件欠き犯罪不成立となる。
では、日本領土領空領海内の同盟関係にある他国の警察や軍隊自身の軍事警察行為は正当防衛要件満たしている場合の、日本在住外国市民および日本国民の違法活動による外国軍外国市民への武力行使による攻撃への日本警察軍隊による反撃は刑法上警察軍隊の正当行為と認められる。とするならば、以前も書いたが、日本国内の他国の警察や外国軍隊への他国或いは自国民からの武装攻撃への正当防衛として日本の軍隊警察はその武力行使の正当防衛要件満たす必要最小限の正当防衛行為である限りにおいて51条の正当防衛要件満たしている限りにおける被許容行為と言えるだろう。その場合、日本が本来持つ日本領土領空領海内での日本の平和への脅威となる行為への一般的正当防衛行為の一環として51条で認めるのだろう。「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」における正当防衛要件満たしている軍事行為に限って、である。
ここに集合的正当防衛の意味が出てくる。つまり、日本国内領土領空領海内の外国軍や外国人警察官へ日本人或いは外国人が武力行使を行った場合、当該外国軍外国警察官外国市民には国連憲章にかかわらず日本の刑法上の正当防衛の権利が認められる。急迫不正の侵害に対する防衛に必要最小限な手段相当性の範囲など正当防衛要件満たしている限りにおいて自衛行為が認められる。そのような場合に、外国軍外国市民への攻撃が日本の領海内領空領土内で日本人或いは外国人により行われた場合、日本の軍隊や警察が外国人外国警察官外国軍隊を守るための武力行使はどのように根拠付られるか?国連憲章51条を準用運用し自己の為の正当防衛要件満たしているのと同視できるような急迫不正の侵害に対する必要最小限の手段方法の相当性の範囲内でしかも外国市民外国警察官外国軍隊の存在態様行為或いは攻撃者への外国軍隊外国警察官の正当防衛要件満たしている限りにおいて、国連憲章51条の準用で、日本の軍隊や警察が直接攻撃されていない場合にも、国連憲章2条4項に違反しない場合があると考えられる。
この場合国連憲章51条が定める要件すなわち、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、正当防衛要件、事後直近の安全保障理事会への報告の要件を日本が満たす必要がある。
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以下国連憲章
参照条文
「「第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動 」
第51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない (イタリック等筆者私冨田麻里による強調)。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」
「国際連合憲章 国際連合憲章広報センター URL : http://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
第2条
この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。
- この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
- すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
- すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。
- すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」更に国際連合憲章51条は平和に対する脅威の章で平和に対する脅威に対する国際連合憲章の正当防衛とみられる対応措置と平和に対する脅威に対する正当防衛行為と認められる場合には2条4項の例外を認めるとする51条を置く。「第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動 第51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」